情報センターの真ん中は吹き抜けになっていて、三角の屋根はピラミッド
みたいになっていた。ガラス張りだ。。。そんなロビーを抜けてある教室に
入ると、所狭しとパソコンみたいなものが並んでいた。パソコンとも違う。。。
古そうなモニターと入力装置だけど。。。登志夫さんに聞いてみる。


「ここの部屋は何なんですか?」


「ここは大型コンピューターの端末が並んでいる教室だよ。パソコンにも直接
大型コンピューターの端末機能をつなぐことも出来るんだけど、古いコンピュー
ターの経験もしてもらうためにこの教室があるんだ。」


「へえ。。。パソコンとは違うのか。。。」


「まあ、ただのモニターの箱が並んでいる部屋かな? 僕も昔この端末で
Basic打ち込んで動かないってアドバイザーに言ったことがあったかな?」


「あ、それでアドバイザーというのが必要になるんですか。」


「そうだね。コンピューター部では部員を提供する代わりに、大学側に公認の
部活動と認めてもらっているんだ。部員でも分からない場合はすぐ近くの
事務室に職員を呼びにいけばいい。」


「そういうことなんですか。。。」


「そして今日の担当はこの人だよ。」


見ると、眼鏡をかけた、いかにも秀才そうな男の子(?)がヒマそうにコンピュー
ターの専門書を読んでいる。その男の子が自分達の様子に気づき、席を立って
会釈をする。


「新しい人ですか?」


「そうだよ。彼は大滝真一さんだ。」


「初めまして、色井奈留と申します。。。」


彼は黙って挨拶したが、ちょっと自分の顔をまじまじと眺め、首をかしげる。


「。。。ちょっと不思議な感じの人だね。」


「真一さん!」


智子さんがたしなめる。


「悪かった、ちょっとそう思ったんだ。一緒に勉強出来るといいね。」


「。。。。」


変な感じ。見抜かれたか。。。? でも元々変だという人の方が技術がしっかり
しているかもしれない。その後は登志夫さんから年間の行事とかアドバイザーの
ローテーションとか聞かされた。


「コンピューター部では貴重な女の子ね。いろいろ勉強しましょうね。」


智子さんの言葉に、登志夫さんが苦笑いをこらえて後ろを向く。


「何よ。。。私普通のこと言ってるだけでしょ?」


「そうだね。貴重な部員だね。。。奈留さんよろしくお願いしますね。」


登志夫さんがこの場を取り繕って笑顔で答える。


「よろしく。。。お願いします。。。」


ここまでいろいろな人と真正面から話することは、なかったと思う。こうやって
人との関係は広がっていくのか。。。


帰りの車の中で呆然と一人運転していると、忘れている”人物”が。。。


(今日は疲れた? 全然話振ってこなかったね。)


「あ、ああそうだったね。自分達はいつも一人じゃなかったね。」


(今日はよく出来ました。内向的な広志さんが、人の輪が広がってきて、
おめでとうございます!)


「何じゃそりゃ。アオレちゃんにまで内向的って言われたくないよ。」


(いいのいいの。人は取っ掛かりを作るところから人生が広がっていくんだから。)


「そうだね。。。そうだと思う。」


(たまにはさ、夏も近いことだし、私達が出会った池で泳がない?)


「そうだね。いいねそれ。。。」


車の方向を変え、あのため池に着くと紺の上着と茶のスカートを脱いでしまうと
一糸まとわぬ姿になる。


「さあ、泳ぐよ!」


ザブンと飛び込んでぴくぴくセックスのような快感を感じながら青い人魚に
なってしまう。池の中を自由に泳ぎ回って、自分達の世界が少し広がったことを
全身で喜んだ。