「疲れたー! でも楽しかったー!」
パーティーの食後も人魚姿で思い思いにプールで泳いで楽しんだが、もう
そろそろ疲れが回ってきた。
「こんなにも遠慮なく変身出来たのって初めてだよね!」
「そうそう、僕たちは変身仲間だよ。何でも出来る! 僕からは何でも協力
するよ!」
「本当? 私ね、充輝君みたいな人と結婚してお金持ちになりたいの!」
え。。。!? 自分と充輝君は顔を合わせる。自分の中のアオレちゃんも顔が
青くなったように見える。元々青い髪だけど。
「。。。って冗談よ! 広志さんには金持ちになって欲しいから充輝君には
協力して欲しいなー。」
「。。。ああ、それくらいはお安い御用だよ。でも、大学生活の間に真面目に
勉強して就職活動したらの話だよ。広志さんなら軽くクリア出来るよ。」
「頼むわね。ところで、充輝君は好きな人いるの?」
「え。。。?」
真姫さんも鋭いところを。。。
「僕は。。。まだいないけれど。。。そのうち見つかると思う。ほら、まだ
健常者になってから日が浅いし、落ち着いて考えていないから。。。」
「そうなの。。。意外と、そばにいるかもしれないよ?」
「。。。」
真姫さんにそう言われると、充輝君は話を切り出す。
「経営者という立場はね、意外とシビアなんだよ。お金があるから気前が良い
とか考える人が多いと思うけれど、それは違うんだ。投資という面から効果が
あるかどうか一つ一つ考えるから、金持ちでいられるんだ。恋愛だってそう。
この人は優しいがだけではなく経営一族として耐えうる存在か、考えなくては
いけない。遊び友達と考えを切り離して考えないといけないんだよ。」
「。。。」
「それにね、今の僕は強くなりたいんだ。」
いつの間にか人間の女の子に戻った充輝君は、少し離れて裸で立つと、体を
ぴくぴくけいれんさせながらむくむく大きくなっていく。胴体が図太くなって
いき、足が脚力ある形に変化していき、黒い髪の毛が茶色の獣毛に入れ替わって
いく。顔はネコ科の丸い耳が頭に立ち、マズルが少し伸びて鼻が黒々となって
ヒゲが生えてくる。立っていられなくなり両手を着くと手足は鋭い爪のある肉球
になり、尻尾がにょろにょろ伸びて先がふさふさになる。すっかりメスの
ライオンに変身してしまった。口元は、人間の口元を残しているようだった。
その口が開いて直接話してくる。
「僕は強くなりたい! 兄弟たちに負けない、強い経営者になりたいんだ!
でも、みんなとは友達でいたい。遊び仲間として大切にするからね。これからも
よろしくね!」
その後、広い会議室が寝室になっている部屋に案内された。
「土曜日に新春会を開いたのはお泊りのことを考えたからだよ。ここで好きな
姿で寝ていいよ。」
「うわーー、一面布団が敷いてある!」
「仕切りもあるし、個室が良かったらあそこの入り口から小部屋を使っても
いいし、好きなように使っていいよ。」
「ありがとう。。。さすがね!」
「真姫さん今さら羞恥心はないでしょ?」
「失礼ね! 裸を見せたって寝る時くらい別々にするわ。」
「わかった。。。」
広い会議室は暖房が効いている。自分は人魚姿に布団をかぶって寝ることにした。
真姫さんはそこの仕切りで寝ている。たぶん虎娘だ。充輝君も女の子に目覚めた
のか、黒髪の裸の女の子姿で布団をかぶって寝ている。一日の終わり。。。と
思っていたが、寝ている自分を起こす人がいる。
「広志さん、広志さん。。。」
「誰。。。?」
人魚の体を起こすと、そこには村田博美さんがいた。
「寝てるところ起こしてごめんなさい。。。充輝様のことで、お願いがあるん
です。。。」
自分は人魚の裸のまま這って隣の廊下まで出ていく。そこで、座り込むように
話を聞いた。
「充輝様の暴走を止めて欲しいんです。。。」
「な。。。」
彼女は続ける。
「以前は星川さんと私が充輝様の車いすを押して、ごく静かに、仲良く暮らして
いたんです。それが、健康が回復されてからは周りに厳しく、時には軽蔑する
姿すら見せるようになって。。。」
「つまり歯止めが利かなくなってきている、ということ。。。?」
「そうです。。。あんなふうに敵を作るようになってはいつかは。。。」
「あなた、やっぱり好きなのね。。。」
「。。。」
アオレちゃん。。。いいところで登場してくる。。。
「充輝君をコントロール出来るのは、私でも近くにいる時でないと。。。
確かに出来ないことはないけれど、遠くで見えない相手にすることじゃない。
精神を操る? 感情を操る? 行動を操る? 出来るけれどその後の信頼は
ぶち壊しになるわ。。。」
「良くて感情を操って高揚させて同調してもらうくらい。味方に対しては
そこまでよ。」
「。。。」
「あなたが”変身”して、止めなさい。後は分かるわね。。。」
自分のおっぱいがすでにひくっ、ひくっと動きながら母乳をにじませてる。
「人じゃないものに変わってしまうけれど、ちゃんと一緒に暮らすのよ。いい?」
「はい。。。」
何だかんだ言ってアオレちゃんは気前がいい。。。またしても”変身者”が