真姫さんも手慣れた動きで変身のポーズを取り、体をぴくぴくさせ始める。
タヌキの丸っこい耳がシャキーンと立ち上がり、短くてだらんとしていた尻尾も
にょろにょろ伸び始める。虎とは違って、茶トラの尻尾だ。毛並みも茶トラに
変わっていき、口元も猫らしい顔立ちになる。全身が俊敏な体つきになって
茶トラ猫少女の完成。おっぱいも人間並みの大きさ。


「猫は基本よね。簡単簡単。」


「真姫さんがしりとり言い出したんだよね? たぶん難しくなってくるよ。」


「そうかな。。。?」


「じゃあ、自分は”こあら”。」


「”こあら”。。。?」


ぴくぴく変身し始める自分。有袋類なんて馴染みないんだけど、感覚だけで
変身のイメージを決めていく。キツネ耳が横に移動して大きくなり、鼻がどん
どん大きくなり黒くなっていく。意外と柔らかい鼻。尻尾はあると思ったが、
体の記憶にはなかったのかシュルシュル消えてしまった。体全体が丸っこくなり、
お腹に袋が出来て、灰色のコアラ毛が全身を染め上げていく。コアラ少女の
完成。髪はそのままだ。本物サイズになれるんだろうけれど、人間の大きさの
動物変身はコスプレみたいにウソ臭くなってしまう。


「コスプレっぽいけれど仕方ないかな。。。? 本物サイズは人間の声が出し
にくいから苦労するけれどね。」


エロティックなコアラ少女の自分が言ってみせる。


「私も口元は半分人間にしてるよ。じゃあ、”ら”の続きだから”らくだ”
。。。?」


「”らくだ”。。。? 変身出来るの?」


「大丈夫、ちゃんと変身出来るから!」


出まかせで言って後で後悔している感じ? でも真姫さんはさっそく変身の
ポーズを取り、体をぴくぴくさせ始める。猫少女の胴体が伸び始めているが、
そんなに伸びようとしない。人間サイズを目指している? アパートの二階で
重量のある変身は出来ない。首が伸び始めて口元が長くなり始める。耳は横に
移動していき、尻尾がだらんと長く垂れ下がる。そして背中に二つのこぶが生え
始め、どんどん大きくなる。足の爪がくっついて蹄になり、ラクダらしい下半身
に整っていく。そして明るい茶毛で染め上がっていく。ラクダ少女の完成。二本
足で立っているが、四つん這いになった方が楽そう。。。人間サイズだからミニ
・ラクダという感じだ。なぜかおっぱいが元のまま。


「かなり無理があるんじゃない?」


「でも、ラクダでしょ? オーケーだよね? はい、広志さんの番。」


「えっと、”だ”だから”だちょう”とか? あれ、”だ”で始まる動物って
他になかったっけ?」


「”だちょう”でいいじゃない? 広志さん変身出来ない?」


「。。。わかったよ。」


もうこうなったら変身するしかない。何だか負けてられなくて。。。コアラ
少女の体をぴくぴく反応させる。頭が少しスリムになって首が伸びていく。
両腕が形を変え始め、ぐきっと反転すると、鳥の翼の格好に形を整えていく。
口は歯がくっついてせり出し始め、くちばしになっていく。足回りも足が
カギ爪になって引き締まり、鳥足の鱗がびっしり生えてくる。コアラ毛は
いつの間にか消え失せ、胴体は黒い羽に覆われ、首から上と足元は白い羽が
生えてくる。ダチョウ少女の完成。確かにダチョウの姿だけど、人間サイズで
ふわふわした直立不動の何かを見ている感じ。本当に何やっているんだか。。。


「ダチョウさん。。。だよね?」


「そうだよ、ダチョウだよ。」


「やっぱり人間サイズは中途半端になりやすいよね。。。」


「まだ続ける? もうすぐ1年が終わっちゃうよ。。。」


(ちょっと待った~!)